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オレ庶民でいいんだけど……

مؤلف: 架月ひなた
last update تاريخ النشر: 2025-07-22 16:22:30

「ゼリゼとオレがハトコ⁉︎」

「そうだ」

さっきから驚いてばかりだ。

ゼリゼの為に手掛かりを探るつもりでいたのに、思いもしていなかった方向へと話が流れていて、さっきから心音が激しく音を刻んでいた。

ハトコとなると玲喜自身も王族の血をひいている事になるからだ。

ずっと庶民だと信じて疑わなかった自分が、突然別の生き物になってしまったような気がして、玲喜は動揺していた。

「え、ええ⁉︎ いや、オレ庶民だし」

「そういう生き方しかしていなかっただけだ。お前はマーレゼレゴス帝国の正統な王位継承者だ」

「オレ、庶民でいいんだけど……」

「欲のない男だな」

二人で手分けして、どんどんセレナの荷物を開けていく。

しかし手掛かりになりそうなものはそれ以上何も出て来なくて、そのまま荷物をしまうはめになった。

——あれ? アクアマリンの指輪もあった筈なのに無くなってる。何でだろう。

玲喜は不思議に思いながらも、その他の装飾品全てを布製の小袋に入れてゼリゼに手渡す。

「もしかしたら、ゼリゼが帰る糸口になるかも知れないから肌身離さず持っていた方がいいと思う。昔、セレナが言ってたんだ。このアクアマリンのネックレスが導いてくれるって」

「しかしこれはお前にとって形見だろう。良かったのか?」

ゼリゼからの問いに、玲喜は迷いもせずに頷いてみせた。

「いいよ。オレには過ぎた宝だ。それに元にあった場所へ戻してしまった方がいい気がするんだ。この家も無くなるから、新たな転移者が出た時戻れなくなってしまうのは可哀想だし」

本当にセレナがマーレゼレゴス帝国の王族であるならば、ゼリゼが元の世界に戻った時にあるべき場所へ返せるのではないかと思った。

その前にゼリゼに教えておくべき事項が幾つかある。手掛かり探しはそれからだ。

あとは暇つぶし方法を教えておこうと玲喜は心の中で決心する。

「そうだ、ゼリゼ。家ばかりに居ても退屈だろ? オレは明後日からはまたバイトでほぼ一日中家にいないんだ。ずっと一緒に居てやれないから、気晴らしに何処か出掛けてみるといいよ。意図しない所に手掛かりもあるかもしれないしさ。電車とか乗ってみるか?」

「電車?」

「そう、電車。時間潰しにもなると思う」

早速出掛ける事にして、ゼリゼを連れて駅に向かった。

「ここで乗車する切符を買うんだよ」

「ほう」

お金を入れて二人分の切符を購入する。

ゼリゼは物珍しそうに玲喜の行動一つ一つ観察するように眺めていた。購入した切符の一枚はゼリゼに手渡す。

「通る時はこうだ」

先に改札の通り方を教えて、見様見真似でついてきたゼリゼに手を差し伸べる。

到着した電車に乗って席を確保すると、ゼリゼが窓の外に視線を走らせた。

「転移魔法無しで移動出来るのか!」

感心したように瞳を輝かせるゼリゼはやはり年相応で可愛い。

本当は引っ越しの為の荷物を片付けるつもりだったけれど、一日潰してゼリゼと一緒に色々な所へ遊びに行く事にした。

***

あれ以来手掛かりは何も掴めないまま、二週間以上が経過しようとしていた。

「お前毎日オレの布団に潜り込んでるよな……」

客室にはちゃんとゼリゼ用の布団を敷いている。

寝に入る時も別々だ。なのに朝になるといつも抱きしめられて寝ている状態だった。

「お前を抱き込んで寝ると何故か睡眠の質が良くなる。疲れもよく取れる。玲喜お前ももう一度一緒に寝ろ」

布団の中に引き摺り込まれて抱きしめられる。玲喜からすれば意味不明だった。

距離感がバグっているとしか思えないゼリゼにため息をつく。勘弁して欲しい。それに朝だけに困った生理現象に見舞われそうだ。

性癖は極力ゼリゼにはバレたくない。有り体に言えば非常に困る。

「離せ。オレはこれからバイトなんだよ」

「俺を放置してまた家を空ける気か」

「仕方ないだろ。バイトに行かないと生活が出来なくなるし。これからの引っ越しにも金が掛かるんだ。それにお前の好きな味噌汁が作れなくなっても良いのか?」

「それは困る」

ゼリゼの腕の力が緩まった隙に布団の中から脱出する。

「電車代と弁当置いとくからな。でもあまり遠くまで行くとお金足りなくなるかも知れないから気をつけろよ。夕飯は冷蔵庫の中にあるから、いつもの様に温めて食べてくれ」

「分かった」

ゼリゼは一度乗り方を教えておいた電車に乗って、遠くまで散歩するのがお気に入りらしい。一緒にいてやれないから良かった。

ゼリゼは一度見たものや教えたものはすぐ覚える。きっと地頭が良いのだろう。

玲喜は朝から夜までバイトで家を空けているので、ゼリゼには外出する楽しみを一通り教え込み、この世界での生活方法を説明していた。

起き上がるとノソノソと洗面台に向かったゼリゼを見やり、玲喜はバイトへ向かった。

上がれる時間になり玲喜が家に着くと、ゼリゼがちょうど風呂から出てきた。

「帰ってたのか」

「ただいま。ついさっきだ。オレも風呂」

ゼリゼと入れ替わりで風呂に直行する。

出てくると、ゼリゼがアルコール飲料の缶を手にしていて玲喜は焦った。

飲む前で本当に良かった。

「こら、アルコールは二十歳からだ!」

「そうなのか? マーレゼレゴス帝国では十五歳から飲めるぞ」

缶を取り上げて代わりに一気に飲み干す。それをゼリゼが驚いた表情で見つめていた。

「何だよ、ジッと見つめて?」

「アルコールを口にしているとなると、玲喜お前二十歳を超えていたのか」

「俺は二十一歳だ。悪かったな童顔で」

「いや、どちらかと言うとそのペラペラの体をどうにかした方がいいぞ」

頭のてっぺんからつま先までゼリゼに何度も観察されてしまい、玲喜は少し拗ねた口調で言った。

「お前と違ってオレは脂肪も筋肉も付きにくいんだよ。というより、おかしいのはゼリゼだからな? 十九歳の体つきじゃない」

「そうなのか? 俺の周りは皆こうだぞ。それよりも玲喜、腹が減った。夜食が食べたい」

「まだ育つつもりなのか!」

「羨ましいか?」

ふふん、と鼻を鳴らされる。

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  • 異世界クロスオーバー 〜例え愛してはいけなかったとしても年下皇子と愛を紡いでいきたい〜   優しいのか優しくないのか分からない

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  • 異世界クロスオーバー 〜例え愛してはいけなかったとしても年下皇子と愛を紡いでいきたい〜   虚しい関係

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  • 異世界クロスオーバー 〜例え愛してはいけなかったとしても年下皇子と愛を紡いでいきたい〜   すれ違いの始まり

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